フルマラソンを取り組んでいくにあたり、成功するためには必須要素が４つあると言われています。
  
その要素はこちらです。
①身体的な能力
②意欲
③チャンス
④指針
  
今回は３つ目の『チャンス』について考えてみようと思います。
マラソンを取り組むとき、チャンスを感じる時があります。それは、日頃のトレーニングが順調に進んでいて、レース当日も好調を感じて走っている瞬間です。こんな時は走っていてワクワクが止まりません。『今日はいったいどんな結果が待っているんだろう』と、期待の緊張感に包まれているときは、ランナーにとってまさに至福の瞬間です。

毎回こうした状態にあれば最高ですが、そうそうこうしたチャンスがあるわけでもありません。
 
レースを目指す過程においても、思わぬ事で走るチャンスが離れていくケースもあります。

以前いらしたカイロプラクティックのクライアントさんに、フルマラソンを２時間４０分台で走るご主人が居ました。奥様もガッツリランナーでしたが、ある日めでたくご懐妊、無事に出産されるとお二人の生活リズムは一変し、走ることより育児を楽しむ人生を歩むことを選ばれました。
 
出産がけして走ることを妨げるわけではなく、女子のマラソン世界記録保持者ポールラドグリフさんは妊娠中も科学的な根拠に基づいてトレーニングを継続し、出産後間も無くレースに出場して結果を出しました。もちろん誰でも彼女のように出来るわけではありませんが、お子さんを育てながら走ることを楽しむランナーも事実たくさんいらっしゃいます。

仕事の面でも出張が重なったり、業務が多忙で物理的に走る時間は後回しになる事が多々あります。会社の状況が変わり、これまで順調だったランニングライフが一変することはよく聞く話です。
 
その点、社会人競技者や学生はチャンスに恵まれています。走ることが中心の生活リズムをとっているため、他の要因で走る環境が無くなることはまずありません。ある意味、一般ランナーの方と比べて結果が出せるのも当然と言えます。

環境面という意味では、地域的な側面からのチャンスもあります。北海道に室蘭大谷高校という駅伝強豪校があります。北海道の冬はひどい積雪の日もあるため、校内の廊下を使ってランニングをする日も特別でないと言います。かたや沖縄はどうかというと、一年を通じて暑い日が多い上に、台風の上陸回数がとても多い。走ることが簡単でないことは容易に想像出来ます。その点関東エリアの方々は走るチャンスに恵まれていますね。

山間部に近い地域では、起伏に富んだコースが取りやすく上り坂に強いランナーが生まれやすいです。かつて箱根駅で山の神と呼ばれた選手たちは、福島県出身者が多かったり、秩父の小天狗などと呼ばれた選手も居ました。わたしの学生時代チームメイトにも、上り坂がやたらと強い選手がいましたが、彼は静岡県富士宮市出身者でした。環境のチャンスを活かした強みだったと言えると思います。
 
志を高く持つという意味では、幼い頃から箱根駅伝を見て育ち、選手に憧れて走り始めるという機会的なチャンスもあります。アイドルやプロ野球選手のような華やかな姿に影響され、セルフイメージを高めるチャンスも成功へのステップとなり得ます。

わたしたち一般ランナーにも、近年のマラソン大会数増加によるプレイヤーとしてのチャンスが広がりました。来月開催される『第２回さいたま国際マラソン』は、初回の出場資格であった４時間完走というハードルが引き下げられ、６時間で走りきれる方の参加間口を広げています。

都心部でのマンション建築ラッシュに引けを取らないくらいのマラソン大会新設ラッシュですが、こうした背景が走ることを「見るスポーツ」から「参加するスポーツ」へと発展させ、挑戦するチャンスを増やし続けている要因と言えそうです。

参加するチャンスが増えると、成長と学びに価値が置かれるようになりました。かつて競技者として活躍してきたランナーたちは、一般ランナーの皆さんを指導するという立場に活路を見いだすようになりました。その結果、一般ランナーの皆さんもより質の高い学びを得るチャンスが増え、ますます成功するチャンスは増していると言えます。

一方で、情報が増え続けることでの混乱は避けようがなく、自分に見合った選択をしていく見極め力も問われ出しています。コーチや教材、コミュニティーなどの選択も、ある意味成功のチャンスを左右すると言えますね。

成功の定義は人によって違うものです。記録を更新することが成功と思う人もいれば、自己幸福感が満たされることや、人との出会いで人生が拓ける成功もあるでしょう。

取り組む過程でたくさんのチャンスを拾い集めて、皆さんの思う成功を手にして欲しいと願っています。


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